最悪YouTuber
— 森山憲一 🌏️ (@kenichimoriyama) April 4, 2024
運営している人が最低であることはもちろんだが、こういうのを見て面白いとか言ってる人も軽蔑しますね。 pic.twitter.com/XYOEPtT93X
そこで以下、この手のチャンネルの問題について説明してみます。
人の不幸を金儲けの道具に使うな
まず、遭難した人の遺族や知人はとても悲しく苦しい思いを抱えています。そのときに、軽薄なエンタメもしくは小銭稼ぎの道具として故人が使われているコンテンツを目にしたらどう思うでしょう? 私ならころしてやりたいほどの怒りを覚えます。それがこうしたコンテンツがダメである第一の理由です。
「本チャンネルは過去の事例を知り、再発防止に役立てていただくことを目的としております。事故の関係者を冒涜、侮辱するといった意図は一切ございません」
という断り書き(言い訳)を入れているところも多いですが、こんなサムネイル作っておいてそれは通らないですよ。
ここまで読んでそれでも問題があると思えない人は、以下を読んでも意味がないと思うのでここで離脱してください。
写真や動画を盗用するな
次に、写真や動画の盗用です。サムネイルや動画内で他人の写真や動画を無断で使っているのが目立ちます。これは私自身がされたことがありますし、同様の経験をもつ知人も何人かいます。
たとえばこれは私の知っている人で、動画の内容とは全く関係なく勝手に顔写真を使われています
ただし最近はAI画像を利用することが多く、盗用は少数派になってきているようです。盗用をすると通報されてチャンネルBANのリスクがあるため、対策しているということなのでしょうか。必要な写真を探して盗用するよりAIに作らせたほうが簡単ですしね。
動画やるならちゃんと調べろ
ダメな理由3番目は、内容が不正確であることです。ここはチャンネルによって差があるので一概にはいえませんが、登山をほとんど知らない人が作っていると思われるものもあります。
たとえばピッケルについて説明しているときにこんな画像を載せるんですよ。これはツルハシだっつーの!
最低チャンネル増殖の背景
ところで今回、この手の遭難チャンネルについて少し調べてみたところ、いくつか興味深いことがわかりました。
私が見つけただけでも20個くらいの遭難チャンネルが存在するのですが、そのほとんどは2023年9月以降に始まっています。そしてそのどれもが動画の構成がほぼ同じです。AI画像もしくはイラストを使って画面を構成し、ナレーションソフトが台本を読み上げるというもの。
この界隈ではどうもこのチャンネルが一番老舗かつ大手のようですが、他のチャンネルはこれの作りをパクっているようです。
山岳遭難ファイルちなみにこのチャンネルは比較的まともでした。見るならこのチャンネルがよいと思われます。他のチャンネルはどうせこれの劣化コピーだし。
逆に私が見たなかで一番タチが悪いと感じたのがこのチャンネルです。サムネイルが最悪なうえにけっこう再生回数が回っていて、悪影響が大きいと思われます。
生きて山から帰るには【山岳遭難解説】調べている過程でこんなのも発見しました。サイトの売買を仲介するサイトで、遭難チャンネルが売りに出されています。チャンネルを作ってある程度軌道に乗せたところで売って利益を得るビジネスモデルなのでしょうか。昨年9月以降に急増した裏にはこういう仕組みがあるのかもしれません。
売られていたチャンネルはおそらくこれです。
登山者の教訓【山岳遭難事故に学ぶ】これらは登山を歪める社会悪である
さて、以下に書くことは私の印象ですが、こういう動画を楽しんで見ているのは、登山をやらない人にこそ多いように感じました。登山の知識がない人にこういう動画が大量に見られてしまうのは社会的悪影響が大きいように思うのですがどうでしょうか。
だって、
・無駄に恐怖やミスのみをあおり
・内容の正確性は担保されず
・ノーチェックコピーで大量生産される
こういう動画なわけです。そこに理念なんかなく、自身の小遣い稼ぎ目的があるだけです。そんなものから有益な学びなんか得られるわけないでしょ。むしろ悪影響のほうが深刻ですよ。
これを書くために見ているだけでうんざりでしたが、こういう最悪文化がこれ以上はびこることのないように私自身注視していこうと思うし、自分にできることを考えていこうと思います。
*掲載したサムネイル画像は本来なら出典を記すことが引用の必要条件ですが、PVを送るのが不愉快なのであえて記しません
【付録】最悪チャンネルの見分け方
遭難系YouTube、避けたほうがよいチャンネルを見分ける指標を発見したので共有します。以下の3つにひとつでも当てはまるチャンネルは要注意。3つがそろっているところは最悪レベル確定です。
1)サムネイル画像の煽りがひどい
ここは主観判断になりますが、刺激性を過度に高めたサムネイルにしているところはインチキ度が高いです。
・ボカシの入った顔写真
・「大丈夫っしょ♪」など当事者の言葉を捏造
・「遺体」「腐乱」などショッキングなワード
これらの有無が刺激性の判定ポイントです。
2)動画公開頻度が高い
1カ月に4本以上動画を公開しているチャンネルは、クラウドソーシングなどで外注して品質無視の大量生産をしている可能性が高いです。
3)参考文献が記されていない
動画の概要欄に、どの資料を参考にしたのか書いていないチャンネルはアウト。資料名を具体的に記していないところは真面目に動画制作をしていないと見なしてよいと思います。
*「複数のニュース記事を参考にしています」などの具体性がない文はダメ
【追記1】
「デイリー新潮」に関連記事を書きました
故人を冒涜する「遭難系YouTube」が人気 登山ライターの怒りと警鐘(全文) | デイリー新潮
【追記2】
こちらは遭難チャンネルの問題点についてわかりやすく面白く説明してくれています。必見です。