くらしナビ・気象・防災:富士登山、頭は守れるか - 毎日新聞
こういう記事を読んだ。要するに、富士山でヘルメット普及活動が進んでいるが、登山者の利用はかんばしくないという内容。
ここ数年、富士山でやけにヘルメットがアツく語られているけれど、個人的には疑問に感じています。富士山にヘルメットって必要なんだろうか?と。
そりゃもちろん、かぶることによって安全性が高まることは間違いないけれど、それは100あるリスクを98に減らすようなものであって、その一方で犠牲にするものが大きすぎるように思うのです。もしかしたら、ケガのリスクは2減っても、熱中症になるリスクが10ぐらい増えて、トータルではかえってリスクを抱え込む結果になるんじゃないかと思えるほど、得られるメリットは薄い。
富士山でヘルメットの着用が声高に叫ばれるようになったのは、2014年の御嶽山の噴火事故以後のこと。確かに御嶽の噴火のときは、ヘルメットの有無が生死を分けることもあったようです。ただ、ああいう噴火事故は非常にレアなケースであって、それへの備えとして新たに道具を用意するというのは現実的な選択とは思えません(富士山の噴火可能性が有意に高まっているという事実があるなら、話はまったく別ですが)。
落石や滑落に備えてかぶりましょうというのならまだわかるけれど、いったい富士山で、頭部に致命的なダメージを負った事故ってどれくらいあるんでしょうか。ここの検証は、少なくとも私は見たことがありません。上の記事にも「山梨県警によると、今年7~8月の遭難者のうち約6割が転落や滑落、転倒による事故だった」と思わせぶりな記述があるだけで、それとヘルメットとの関係性はぼんやりとスルーされています。
自分の経験からすると、富士山でヘルメットっていらないと思うし、仮に必要なんだとしたら、日本の多くの山でも同じようにヘルメットが必要になってしまう。
記事では、登山者がヘルメットをかぶらない理由として、「夏場で暑いからか、ファッション性がないからか、他にかぶっている人が少ないからか」という、地元職員のコメントを紹介していますが、全部そのとおりだと思います。
もうひとつ重要なのは値段。登山用のヘルメットは1万円前後もして高いのです。近ごろは軽量化と通気性アップとデザイン性アップが進んで、かぶっていてもストレスを感じないものが増えましたが、そういうものこそ高い。ホームセンターで売っている安全帽(いわゆるドカヘル)なら1000円くらいで買えるものもありますが、それはかぶり心地悪いし、重いし、蒸れるし、なにより、あまりにもカッコ悪い(安全帽屋さんすみません)。
要するに、富士山でヘルメットをかぶるという行為は、コストパフォーマンスが低すぎると思うわけです。安全性をコストパフォーマンスで語るのはいいことではないけれど、低いリスクに備えるためにほかのすべてを犠牲にしてもいいというものでもないでしょう。そのへんの現実を無視した施策は、あまりいい結果を生まないと思うんですよね。
【補足】
ここでいう「コスト」とはお金のことばかりではないです。「ヘルメットを導入することで負わなければならないマイナス要因すべて」です。装備の重量増もそうだし、快適性低下、ファッション性低下もすべて含んでいます。
ヘルメットについてちょろっと調べていたら、こんなものを発見しました。この値段ならギリ許容範囲(しかもサングラス付き!)。クライミングで使わないなら、自転車用ヘルメットは通気性が高くて軽くて、夏山登山用ヘルメットとしてはじつはかなり快適なのです。ドカヘルみたいなものかぶるよりは断然おすすめです。
難しいですね。
返信削除私はスキーやるのですが、スキーにヘルメットなんてカッコ悪い、、、と思ってたのですが、競技やるようになってからヘルメットは必需品になりました。普通に滑るのもやはりヘルメット欲しいなと。
スキー・スノボに関わらず、ヘルメットしてる人は増えてます。
確かに富士山にヘルメットは大袈裟かな、感もありますが別の山で、知人の初級者が滑落して、多分、ヘルメットのおかげで命は助かった、と言うこともあったので、常に装着しているのか、携行しているのかは別としてあってもいいのかな、と思ってます。
確かに、初心者・初級者が準備するには高いですよね。
私もスキーヤーで、元々フリーだったのでヘルメットダサい、と思ってましたが、競技を始めたら、競技以外でもヘルメット無しでは滑れないですw
返信削除知人が山で滑落してヘリコプターで救助されましたが、ヘルメットのおかげで助かった、と言ってました。
富士山でも、過去落石事故は起こってます。ヘルメットあってもダメそうな事故ですが(こぶし大の石でも山で頭に当たればヘルメット被ってても致命的ですし)。
勿論、無くても問題ないことが殆どでしょうけど、万一に備えるのがヘルメットだったり保険だったりするのでは?
で、自分はヘルメット被るのか、と言われるとご指摘の通りその辺が微妙なんですよね。。。只、上述の人が書かれてるようにスキースノボではだんだんヘルメットつける人が増えてます。
登山でも、個々人の判断に応じてつけるつけないを自然に選択できるようになればいいなと思います。
あと、自転車用のヘルメットはかなり弱いです。
返信削除重いのを嫌がる選手と規制側の微妙な妥協点と言うか。。。
ないよりましだと思いますが、登山用としてはどうなのかな。
そもそも登山は自己責任で行うものですから何を着用しようと勝手なんですが、何か大きな事故があると誰かの責任にしたがる人が出てきて(そのほとんどは山屋ではないんですが)、その矛先が行政に向いて、その度に新しい規制のようなものが生まれます。釣りの救命胴衣も同じです。ただ、溺れている人に救命胴衣は有効ですが、登山におけるヘルメットはどうでしょう?大いに疑問です。御嶽のような大規模な噴火でヘルメットはほとんど役に立ちません。ただの気休めだと思います。私自身は岩場等でヘルメットを着用しますが、それは上からの落石、それも先行者が蹴落とす小粒の石程度のものに対しての備えであって、それ以上のものではありません。手のひら大以上の石が頭を直撃したら首の骨が折れます。ヘルメットどころの騒ぎではありません。スキーヤーの方が必要性を訴えてらっしゃいますが、確かにアイスバーン等での転倒に対して頭部を保護するのは当然で、その為、スキー用のヘルメットは後頭部を守るようにできています。一方、登山用のヘルメットは後頭部まで保護しません。設計上、上からの衝撃にしか対応していないのがほとんどです。小石程度のものから頭部を守るなら、自転車用でも工事用でも防災用でも、自分の好きなものを着用して、それが気休めになるならそれでいいのだと思います。その意味では熊鈴と同じですね。
返信削除オートバイのヘルメットが義務化された時も同じ主張してる人が一定数いましたよ。
返信削除今はいませんね。そんなもんです。
自転車用はアスファルトでの転倒を想定していますので通気口の穴が開いていて良いのです。しかし、登山はとがった岩等も想定していますので穴がありません。自転車用みたいに穴があってはいけないのです。
返信削除工事用ヘルメットは落下物からの保護を想定しているため、頭頂部にスペースがあります。
従いまして、目的によって考えられていますので登山の場合は登山用を着用しなければなりません。それこそ荷物になるが役に立つかわからない物を持っていくというコストパフォーマンスが悪くなると私は思います。
スキーは子供の頃からやってて、昔はヘルメットなんて競技やる人しか被ってなかったけど、いまは普通に被る人増えてますね。
返信削除仕事柄メチャクチャ重くて蒸れるヘルメットを被って山の中を駆け回ってますが、ヘルメットに命とまでは言いませんが重篤な怪我から守って貰った経験は多々あります。
普通に転んだだけでも頭を打てば最悪即死することもありますから、やはりヘルメットはあったほうが良いと思います。