ページ

2016年1月15日金曜日

「ウエリ・シュテック」は間違いだったぜ!



現代最強のアルパインクライマー——といってほぼ間違いない、スイスのウエリ・シュテック。
きょう、思わぬところで会うことができました。
マウンテンハードウェアの展示会に行ったところ、ゲストとして来ていたのです。
知らなかったので、ちょっと得した気分。


動画は、昨年秋にアイガー北壁のスピード記録を打ち立てたときのもの。
標高差1800mの北壁を2時間22分50秒で登っています。


アイガー北壁って、ヨーロッパアルプス三大北壁のなかでもいちばん難しいといわれていて、通常は2日かかるというところ。「通常」っていったって、日本の通常の登山者じゃ登れないですよ。かなり力のあるアルパインクライマーじゃないと無理です。しかもそれでも2日です。


動画を見ればびっくりなんだけど、シュテックは空身に近いような格好で、ロープを使わずに、「走るように」登ってます。
もう意味がわかりません。
普通の登山道だって、一般的な登山者が1800m登るとしたら、5〜6時間はかかるんですよ!
雪の付いた岩壁を2時間22分って……。


「ロープは使わないの?」
と聞いたら、
「持ってない。オールフリーソロ」
ということでした。
私がやったら確実に自殺ものですな……。


展示会では、シュテックが完全監修したウエアが展示されていました。
本人からいろいろ細かい部分も説明してもらって、実際、これがさすがによく作り込まれているんですが、悪いけど絶対に売れないだろうな。
なんというか、F1カーをそのまま市販してしまっているような製品で、これが必要な人って日本に50人くらいしかいないと思うんですよ。


マウンテンハードウェアって、こういうトンガった製品のエッジを丸めずにそのまま出してくる、ビッグブランドらしからぬやんちゃなところがあるのです。
私も、ティム・エメットというクライマーが監修したミクサクションジャケットという画期的なアウターシェルを愛用していて大変気に入っているのですが、これも1年でなくなってしまいました(売れなかったんだろうな)。


あ、それよりもシュテック。
重要なことを聞きました。
これまで、ROCK & SNOW時代から、雑誌では彼の名前を「ウエリ・シュテック」と表記していたのですが、マウンテンハードウェアの資料では「ウーリー・ステック」となっています。
綴りUeli Steckからするとウエリ〜のほうが正しいように思えるんだけど、ずっと気になっていたので、この機会に本人に直接聞いてみました。
すると、「ウーリー」ということでした。
「eは発音しないの?」と聞いたら、「そう」と言っていたので、明らかに「ウエリ」ではないですね。


外国の言葉をどう表記するかについては、以前のエントリーでいろいろ理屈をこねましたが、人名については本人がいうことが絶対です。
だから本日以降、彼の名前を表記するときは「ウーリー・ステック」に変えることにしました。
これまで「ウエリ」と書いていた人、みんなよろしく!


2 件のコメント:

  1. 僕ら(俺だけだとまたかになるので、助け舟でスター佐藤裕介)も勝手なイメージだけなのですが、ウーリー氏ってどちらかというと、アルパインクライマーからは壁の栗城さんのイメージになってしまっております。当然、栗城先生とは比べようもないほど体力や技術はあるのでしょうが、登山の本懐であるはずのパイオニアワーカーとしてはいかがなもんかと。実際にウーリーとお会いしてお話ししたら違ったものがあるのでしょし、凄い登山者であるの事実だと思うので、「ウーリーも(分かりやすく世の中に合わせなきゃいけないので)大変だな」というのが、クライマー的な正直な感想です。

    返信削除
    返信
    1. コメントに今ごろ気づきました。みやぎさんですね。

      削除