2015年4月22日水曜日
巨星船戸与一墜つ
作家の船戸与一さんが亡くなった。
冒険小説の名手、直木賞作家の船戸与一さん死去
船戸さんは大学探検部の大先輩にあたる。
私が学生時代、OBの集まりに顔を出すとたいてい船戸さんがいた。
船戸さんは無頼を絵に描いたような人だった。
風貌からしてまともな社会人でないことはひと目でわかったし、物言いも乱暴そのもの。
その船戸さんに劣らないやくざなOBである恵谷治さん(現在は北朝鮮がらみでテレビでもよく見かけるフリージャーナリスト)と組んだツートップはとにかくヒドく、学生たちからおそれられていた。
たとえば、その場で活動計画を説明すると、このふたりがボロカスに文句をつけてくる。
「そんなもんが探検といえるのか」
「おまえにとっての探検とはなんだ」
「考えが甘いんだよ」
いきなり頭から酒をかけられたやつもいる。
もうクソオヤジ以外の何物でもない。
ただし、好き勝手に放言はするが、「こうしろ」と言うことはなかった。
当時すでに売れっ子の冒険作家であり、海外辺境の経験なら学生よりはるかに上だったのに。
罵倒はするくせに指図は一切しなかったのだ。
「金は出すが口は出さない」
そういうポリシーで一貫していた。
それは船戸さんだけではない。ほかのOBもクソオヤジかダメオヤジばかりであったが、私は彼らのこういうところが大好きだった。
山岳部がOBの言うことにがんじがらめになっているのを見ていただけに、このクソオヤジたちは私の誇りでもあった。
いつか自分がOBになったとき、おれもこうあらねばならない。
そう思わせてくれたことに感謝しています、先輩。
心からご冥福をお祈りします。
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