トップ画像に使っているのはハーケンという道具です。
ハーケン(haken)はドイツ語なので、近ごろは英語でピトン(piton)と呼ばれることが増えました。
けっこうこれは登山道具のなかでも一般に知られているほうなんじゃないでしょうか。
だから山をイメージさせるにいいかな~と思ってトップに使ってみました。
でも使ったことがある人はガクッと少なくなるはず。
どういう使い方をするかというと、岩の割れ目に差し込んで確保支点とするのです。
たとえばこういうふうに。
穴にカラビナをかけて使います。
頼りなく思えるけど、ガッチリ決まれば軽自動車1台ぶら下げても大丈夫なくらいの強度があるそうです。
ただし十分な強度を出すには、岩を見る目(硬いかもろいかなど)や正しい打ち込み方(音で判断、アゴを効かすなど)が必要で、ただ打ちゃいいってもんじゃありません。
ピトン打ちはなかなか奥が深く、職人芸的な部分があるのです。
抜くときはですね、こんなふうにハンマーでぶったたきます。
さらに逆方向からぶったたきます。
これを繰り返すと、そのうちグラグラになってきて抜けるというわけです。
細引きを付けているのは、この抜くときに落っことさないようにカラビナをかけておくためのものです。
こんなふうに。
細引きは付けてない人もいるけれど、僕は落っことすのいやなので付けてました。こんな鉄片だけど2000円近くするんですよ。それに登るときは必要になるギリギリの数しか持っていかないから落とすと困るし。
ピトンにもいろいろ種類があって、写真のものはブラックダイヤモンドのナイフブレードというやつ。その名のとおりかなり薄くて、細いクラック(リスという)に打てるというもの。でも使いこなすのは難しくて、僕はあまり使ったことがありません。写真のピトンは2、3回しか使ってないんじゃないかな。
このピトンを作ったのはかのイボン・シュイナード。
パタゴニアの創業者です。
彼は自分で使うピトンを作るために会社を興し、日々トンテンカンカン鉄を打ってました。
会社の名前はシュイナード・イクイップメント。
現在のクライミングギアの基本はすべてこの会社が作り上げたといってもいいほどの革新的なギアメーカーでした。
その会社が名前を変えて、現在のブラックダイヤモンドとなっているわけです。
このへんの話は、いま書店に出ているPEAKS(4月号p185)で村石太郎さんが詳しく書いています。アメリカ本社取材しているので面白いですよ。
ちなみにシュイナード・イクイップメントがブラックダイヤモンドに変わったのは1989年。
僕はシュイナード・イクイップメント製のギアを買っていた最後の世代にあたるのかもしれません。
いくつか持っているので、いつかそれについてでも書こうかな。
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