15日発売の『岳人』に、佐藤裕介のインタビュー記事を書きました。
岳人がモンベル(正確にはネイチュアエンタープライズ)の経営に移ってから初めてお話しをいただき、自分のスケジュール的にはかなりきびしいときだったのですが、テーマが佐藤裕介と聞き、これはなんとかしなくてはと少し無理をして引き受けてしまいました。
佐藤くんに初めて会ったのは10年くらい前。
『ROCK & SNOW』の企画で行なわれた座談会の席でした。
「注目の若手クライマー」という感じで、各所で少しずつ名前を聞き始めたころでした。
座談会では、そののんびりした話し方とは裏腹に、クライミングに対する意見は非常に鋭く、すでに独自のクライミング観を持っているようでした。
「これは掘り出し物だ」と思いながら帰ったものです。
その後は、かの「ギリギリボーイズ」の一員としても活躍。
あっという間に、日本のアルパインクライミングのトップになっていきました。
彼の魅力は、無尽蔵のモチベーションと抜群の安定感。
これだけクライミングに入れ込み続けて飽きない人に会ったのは山野井泰史さん以来です。
そして登りが非常に華麗。軽やかで、どんな厳しいところでも余裕がありかつ正確。
フィジカルなクライミングの才能があるだけでなく、鋭く危険を察知する動物的な嗅覚もあるように感じます。
まさに「クライミングの才能の塊」という感じです。
昨年から山岳ガイドになったので、記事ではその話を中心に書いています。
取材は、瑞牆山で実際のガイドクライミングに同行させてもらって行ないました。
「いちばんガイドになりそうにない男」と言われ、私もそう思っていたのですが、意外や合っているのかもしれないというのが感想です。
取材では、2年前の「那智の滝事件」など話しにくいこともあえて突っ込んで聞きました。
現在の佐藤裕介を語るには避けて通れない話だと思ったからです。
逃げずにちゃんと答えてくれた佐藤くんに感謝です。
昔から疑問だった家族のことも聞きました。
ここは傑作なので、記事でぜひお読みください。
私は思い入れのあるテーマほど文章が書けなくなってしまうタイプで、
この記事も書き始めてみるとどうにもノリが出ず、3分の2くらい書いた原稿を思い切って全ボツにして一から書き直したりしました。
あっさり書けるだろうと思って引き受けた話だったんですが、意外と苦労してしまいました。
そのぶん、最終的には納得のいくかたちになったと思います。
ちなみに写真も私です。
けっこう自信作だったので、大きく使ってくれた編集部に感謝。
2007年に撮影した錫杖岳の写真もついに日の目を見ることができました。
(この撮影が、私がクライミング撮影に興味をもったきっかけでした)
これまで幾度もインタビューを受けてきた佐藤くんですが、
未出(のはず)の話もたくさん入っています。
ぜひ読んでみてください。
【ボツ写真】
行動食はいつもタッパーに入れた弁当だそうです。休憩のたびにこれをちょこちょこ食べてました。
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